トップ > VPKで富士山頂ご来光撮影計画 目次 > STEP7:富士登山初日
連日酷暑が続いていたが、小笠原の南に低気圧が発生。やがて台風12号となった。気象予報士は、日本列島の東西に高気圧があり、沖縄の東に寒冷渦があるため、台風は洋上で勢力を強め、関東を直撃する恐れが有ると説明していた。
よりによってこの台風12号は、富士登山予定日あたりにやって来るとのこと。連日、台風情報を見続けていた。
台風12号は小笠原を通過後、速度を上げて北上し、登山前日には八丈島を通過していた。

登山の準備を終え、就寝前に天気図を確認すると、この有様だった。富士山は台風のほぼ直撃を受け、登山道の状態が悪くなっていることが想定される。また、公共機関が動くかどうかも危惧された。
登山当日、とりあえず出発して、新宿駅まで来た。ここからはロマンスカーに乗って、御殿場駅まで行く予定である。列車の運行情報では、小田急線は平常運転とのこと。台風12号はすでに兵庫から岡山に入ろうとしており、大丈夫だろうと思っていた。
改札で電光掲示板を見ると、予約しておいたロマンスカーの表示があった。どうやら大丈夫らしい。しかし違和感が。
よく見ると、行き先が秦野となっていた。駅員さんに尋ねると、御殿場線が止まっており、直通運転が出来ないとのこと。最初の目的地は、富士山須走口五合目。ここへ行くには、御殿場駅からバスで1時間、または松田駅からバスで1時間半。とりあえず小田急線新松田駅までは行けるようだが、はたして富士急バスが運行しているかどうか。
駅員さんが、「御殿場駅なら、バスタからバスが出ているよ」と教えてくれたので、とりあえずバスタに向かった。道を教えてもらい、何とかたどり着いたが、御殿場行きのバスの出発まであと10分。案内の方が、「今日はスバルライン五合目へのバスは出ていません」と教えてくれた。これはまずいのではと思いつつ、とりあえずスマホで富士急バスの電話番号を調べ、御殿場駅から須走口五合目までは運行している事を確認でき、胸をなで下ろした。
しかし、バスの発車まであと5分。窓口は行列が出来ていて、仕方なく券売機に向かった。幸い、すぐに前の方が買い終えてくれたので、初めて触る券売機を操作。勘が冴えて、何とか御殿場アウトレット行きのバスの切符を、御殿場駅まで買うことが出来た。あと2分。出口付近のバスの運転手に行き先を聞いたら、御殿場駅を通ると告げられたので、発車ギリギリで乗車に成功。
しかしすぐにアナウンス。「用賀が事故で通行できないため、用賀まで国道で向かいます。」すでにバスに乗った以上は仕方がないので、イスを倒して休憩モードに突入。
用賀までは渋滞したが、東名高速に乗ってからは、スムーズに進んだ。やがて御殿場駅に到着してバスを降りると、富士急バスの乗り場を探した。
御殿場駅から須走口五合目までの往復切符を買って、バス停に立っていたが、他には誰もいない。やはり台風通過の翌日に、富士山に登る人はいないのでは?と思っていたが、発車10分前くらいになると、ちらほら山の格好をした方々が並び始めた。当初の予定より1時間遅れてしまったが、無事に須走口五合目行きのバスに乗ることが出来た。乗客は他に7人くらい。ハイシーズンでこれだけ空いているのは珍しいのでは、と思いながら乗っていると、須走浅間神社で乗客の乗り降りがあり、最終的に須走口五合目に向かったのは十人ほどであった。
予定より1時間の遅れを取り戻すため、早く登りたい気持ちはあるが、高山病でのリタイアは絶対に避けたい。外国の方に写真撮影を頼まれ、山小屋の方から温かいお茶をいただき、おにぎりを食べながら1時間ほど体を標高約1,970mに慣らした。

13時25分に須走口五合目を出発。霧雨が降り、寒いので、フリースとレインウェアを着込んだ。少し歩くと暑くなり、フリースをザックにしまった。天候は次第に回復していった。
14時38分に、六合目のしゃくなげ山荘(長田山荘)に到着。コースタイムは1時間35分なので、順調のようだ。ここで小休止し、再び歩き始めた。少し青空がのぞけるようになった。

山頂はまだまだ先だけど、登りに下り坂が無さそうで助かる。
15時13分に本六合目瀬戸館に到着。コースタイムは50分なので、依然順調。しかし、風が次第に強くなってきた。ここでも小休止してから出発。やがて、期待していた景色が現れた。

富士山で見る虹は格別だ。写真撮影後、この虹はきれいな半円を描いたが、フィルムに限りがあるので、再度の撮影はしなかった。
16時10分に七合目大陽館に到着。コースタイムは1時間20分。虹も見られて順風満帆。ここでも小休止し、出発。
この辺りで、体に異変が現れる。足のくるぶしが痛む。幸い、つることは無かった。また、防風性能の有るグローブをつけていなかったので、手がかじかんでしまった。次第に、足を止める間隔が狭くなってくる。弾丸登山は、自分には無理であることを悟る。
17時10分、予約をしていた本七合目見晴館にチェックイン。宿をここより上にしておかないで良かったと、しみじみ思う。コースタイムが50分なので、やはりバテ始めていた。

ポリエステルのシャツを来ていたが、汗が冷えて寒い寒い。中にストーブが有ったので、かじかんだ手をかざしたが、全然温まらない。後で気付いたが、ここまで水分補給は殆ど無し。携帯した羊羹も、一口も食べていなかった。行動食は登山では大事なのだと、改めて気付かされた。
少し待つと、夕食のカレーとサラダを出していただいた。寒いのは栄養不足だと思い、急いで食べた。ご馳走さまです。しかし、やはりストーブの側にいても寒い。更衣室を借りて、汗で濡れたTシャツを脱ぎ、替えのTシャツに着替えた。また、長袖のシャツも濡れていたので、念のために持って来ていた、冬用厚手のシャツに着替えた。さらに、フリースも来た。これでようやく、寒さが落ち着いた。
自分の寝床に案内してもらい、汗で濡れたままの長袖のシャツとレインウェアを干し、寝袋にくるまりながら、かじかんだ手をももに当てて温めた。寝袋は薄くて、最初は寒かったが、ファスナを締めると自分の発する熱が閉じ込められるので、次第に温かくなってきた。まだ18時。寝袋にくるまっているのは自分だけであった。
やがて団体さんが到着し、色々な声が聞こえてくる。吉田口が封鎖された理由は、台風による倒木が原因らしかった。また、本日はキャンセルが多く、20人位しか来ないようであった。収容人数の4分の1に過ぎない。
「ビールちょうだい!」
元気な声が響く。どれだけ山に慣れているのかと、羨ましかった。消灯は20時。まだまだ時間が有った。
19時を過ぎると、隣の寝袋に入ってくる人がいた。
「あなたもガイドですか?」
と尋ねられた。こんな時間に寝ているのは、ガイドさんくらいなのだろう。
20時に消灯となった。次々と寝袋に人が入ってくるが、その度に「うわ、寒い!」という声が聞こえた。外は台風の影響が残っているのか、風の音がかなり響いていた。明日のご来光について、早起きするか、それともここから見るか、作戦を練っている声が聞こえる。
山小屋の方は、「山頂までここから2時間も有れば十分で、日の出は4時45分だから、2時45分に出れば大丈夫」と言っていた。恐らく、混雑する吉田口からの登山客が少ないことを考慮してであろう。
朝は、山小屋の方が起こしてくれる事はない。腕時計の目覚まし機能の使用はOKとの事。一応、2時15分にセットし、目を閉じた。隣のガイドさんは、すでに寝息を立てていた。
STEP6 |
STEP8
VPKで富士山頂ご来光撮影計画 目次
トップ
/